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2019.03.29 取組紹介 

【取材レポート】株式会社井上組

井上組は設立して67年、徳島県西部のつるぎ町半田に位置する土木工事を主とする建設会社です。本社1階での駄菓子販売や地元小学校への筆育講師派遣、災害対応力強化のための他社とのBC(事業継続)連携等、建設会社の枠にとらわれないユニークな活動を行っています。。
 
【地域のプラットフォームづくり】
本社周辺は過疎化がすすみ、子どもたちが寄り道する場所が少なくなっていたことから、2014年に地域交流の場として、本社の一角に「駄菓子屋いのうえぐみ」をオープンさせました。事務社員が本業のかたわら、商品仕入れや販売を担当、メンバーズカードの仕組みを作るなど、駄菓子屋は売れ残りもなく継続運営されています。ちなみに、駄菓子は災害時の非常食としての利用も考えているそうです。
 
また、建設会社の事務所といえば、請求・経費処理や電話応対等を行う作業空間を想像しますが、ここは、学校帰りの子どもや親子連れが気軽に立ち寄るにぎやかな場所となっています。この平時からの関わりがあったことで、大雨時に、河川の危険箇所を知らせに来てくれたこともあったそうで、まさに「地域のプラットフォーム」の役割を担う拠点となっています。
 
【地域貢献】
地域に根づき、役立ちたいという思いから、地元の小学校で、正しい鉛筆の持ち方を教える「筆育講座」を提案し、講師の派遣を続けています。たまたま、「筆育」に取り組む方とのご縁がきっかけで、現在は、社員も講師やスタッフとして活動し、地域との「絆」も深まっているようです。
 
【なでしこBC連携による災害対応力強化】  ※BC(事業継続)
地方では、大規模災害が発生した際に、作業員や建設重機の確保が困難なため、復旧が進まないことが危惧されています。そのため、井上組は、2015年から民間企業同士が相互支援し、災害対応力を発揮する活動を開始しました。初めは2社でしたが、現在は13社(徳島県、和歌山県、岡山県の建設業者12社と飲食業者1社)との連携体制ができました。
 
また、連携をより強固で有効なものにするため、女性社員を中心とした「なでしこパトロール」を組織し、各現場のパトロールを始めました。女性の目線での現場環境改善の取り組みは、「なでしこBC連携」として、現在も続いています。特に、緊急時の連絡や支援、炊き出し合同訓練等では、この仕組みが大活躍しています。このことがきっかけとなり、2017年8月には、「道路啓開等の災害初動期を女性目線で考える会」の開催に至りました。
 
一方、大規模災害発生の初動期に、国土交通省・県・警察・学校等のさまざまな機関や事業所が、知り得た情報を共有することで、人命救助や道路啓開等において、必要な情報が収集できることが実証されています。よって、これらの取り組みは、今後、重要性が増すと見ています。
 
【建設業におけるICT活用】
建設業界における将来の技術者不足への対応として、i-Construction(※1)の取り組みが推奨されています。そんな中、井上組では、測量の際の3次元データの活用や技術革新による工事現場の省人化及び自動化の検討をすすめています。
 
※国土交通省では、「ICT の全面的な活用(ICT 土工)」等の施策を建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図り、もって魅力ある建設現場を目指す取組であるi-Construction(アイ・コンストラクション)を進めています。
 
このような井上組の建設業の枠を超えた取り組みの根底には、「ただ地域にとって役に立つ企業・社員でありたい」と言う企業理念と志が流れていることが分かります。その着実な推進のために、エコアクション21の認証による環境経営が、上手く取り入れらていることには、感心させられました。2018年には、これらの取り組みが公益社団法人土木学会四国支部から表彰され、外部からの評価も高まりつつあるようです。
 
今回の取材では、社会的にその必要性が求められている災害応援や地域へのお役立ちなど、その時々のニーズや期待、ご縁のネットワークを広げ、発展させてきた井上組の数々の取り組みを通して、「地域に必要とされる企業」の姿を垣間見ることができました。
 

【組織・団体情報】
株式会社井上組
所在地:徳島県市美馬郡つるぎ町
HPアドレス https://inouegumi.net

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